自動外観検査の構成要素とは?照明から判定・記録・排除まで

自動外観検査は、照明やカメラ、判定ソフトの組み合わせに加え、撮影した製品と記録・排除対象を一致させる仕組みが必要です。各機能の役割、PLCとの受渡し、撮像や保存に失敗した場合の確認事項を整理し、設備担当とシステム担当の分担を考えます。

この記事でわかること

  • 照明・撮像・画像処理・判定・記録・排除の役割と、機器台数との違い
  • 撮像した製品と判定結果を対応付け、記録系と制御系へ渡す条件
  • 撮像漏れ・記録失敗・排出未確認の扱いと、復旧時に決める担当範囲

カメラの先まで含めた構成の確認

自動外観検査の構成は、照らす、撮る、処理する、判定する、記録する、排除する、という機能で整理すると担当範囲を確認しやすくなります。確認の終点は、判定後の製品の扱いです。画像と現物の対応が曖昧なままでは、欠陥を見つけても正しい製品を隔離できたか判断できません。

照明は欠陥と背景の明暗差を作り、レンズとカメラは検査面を画像に収めます。画像処理では、位置補正やノイズの低減などの前処理を行い、特徴を取り出したり、学習済みモデルで推論したりします。その出力を良否基準やしきい値に照らして判定し、結果を記録や排除に使います。

搬送・制御機器には、判定した製品を次工程へ送るか、隔離するかを伝える役割があります。

六つの機能は、6台の装置を買うという意味ではありません。撮像と演算を一体化した機器もあれば、複数台のカメラで一つの製品を検査する構成もあります。見積書では機器名だけでなく、誰が各機能を受け持ち、何を受け取って何を返すのかを確認します。

撮像要求と判定結果の取り違え

機器単体の動作を確認しても、受渡しのタイミングが合わなければ検査は成立しません。撮像トリガは、撮影開始の合図です。製品が所定の位置に来たとき、センサーや設備の制御装置であるPLCなどから合図を送り、姿勢と露光時間が合った状態で撮影します。PLCからの指示と画像・判定の応答を、どの信号や通信でやり取りするか確認します。

合図だけで撮像済みとは判断できません。カメラの受付状態や画像転送の処理が追いつくかを確かめ、撮像要求を受け付けられなかった際の応答を決めます。確認するのは、撮像要求、画像取得、判定完了のそれぞれです。撮れなかった製品を良品として数えない条件を決めます。

製品が連続して流れる工程では、結果の到着順だけに頼ると、遅延や途中抜取りで対応がずれるおそれがあります。製品IDや工程内の追跡番号に画像と判定を結び付け、再撮像時は検査回も区別します。排出位置への到達までに処置が間に合うかは、撮影、演算、通信、排出機構の動作に要する時間と搬送条件を合わせて設備側と確認します。

記録系と制御系へ結果を渡す条件

判定後は、記録する機能と排除する機能をそれぞれ設けます。両者は同じ判定結果を使う別の処理で、並行して動く構成もあります。保存してから排出する順序に固定しません。記録先と制御側のそれぞれに、何を渡せば処理でき、どの応答で完了を確認できるかを決めます。

記録系には、製品ID、検査回、画像、判定、検査日時、撮像条件や判定設定の版を対応付けて残します。全画像か特定条件の画像か、どれだけの期間保存するかも確認事項です。受信応答と保存完了を区別し、保存失敗の再送と同じ検査回の重複をどう扱うかをシステム担当と揃えます。

制御系でも製品IDと検査回で有効な結果を対応付け、PLCと搬送側で排出対象と時刻を決めます。排出指示の受信と、製品を隔離できた確認も別です。例えば排出先で通過を確認するセンサーを使う方法があります。回収容器が満杯になった場合の扱いも含め、対象品を隔離できたと判断する条件を確認します。

必要な確認方法は設備に合わせて決め、未確認時の通知先も定めます。各機能の入力、出力、応答期限、異常時の担当を一行ずつ整理すると、会社をまたぐ分担も確認できます。

表01.03-16機能の入力・出力と完了確認

機能と担当要素入力出力完了・異常時の確認
照明(照明と光学条件)検査面、製品姿勢、照明条件欠陥と背景に明暗差をつけた検査面欠陥が画像で見えるか確認。見えない場合は撮像条件を見直す
撮像(レンズ・カメラ・トリガ)所定位置の製品、撮像要求、露光条件製品IDまたは追跡番号と検査回に対応する画像要求と画像取得完了を区別。未撮像を良品として扱わない
画像処理(前処理・特徴抽出・推論)取得画像、処理設定や学習済みモデル位置補正などの処理結果、特徴や推論結果判定に使う出力を確認。処理の遅れを含めて判定期限に間に合うか確認する
判定(良否基準・しきい値)処理結果、良否基準、しきい値製品IDと検査回に対応する有効な判定結果判定完了を確認。判定待ちや結果無効を通常のOK・NGと分け、保留と通知の条件を決める
記録(保存先・記録システム)製品ID、検査回、画像、判定、日時、撮像条件と判定設定の版対象製品と検査回に対応する保存記録受信応答と保存完了を区別。保存失敗時の再送、重複、代替保存や保留を確認する
排除(PLC・搬送・排出機構)製品IDと検査回に対応する有効な判定結果、搬送条件対象製品の排出指示と隔離確認指示の受信と隔離確認を区別。未確認時は所在と状態を確認し、通知と処置の担当を決める
6機能は機器6台を意味しません。記録と排除は判定結果をそれぞれ利用し、実行順序は固定しません。応答期限と異常時の担当は、設備条件に合わせて合意します。

未検査・保存失敗・排出未確認の扱い

撮像漏れや判定遅延を、通常のOK・NGだけで処理すると、検査を終えていない製品が次工程へ進むおそれがあります。未撮像、判定待ち、結果無効といった状態を区別し、対象品をどう保留し、誰へ知らせるかを決めておきます。通信が復旧しても、遅れて届いた結果を別の製品へ適用しない確認が必要です。

保存失敗は、後から原因や対象範囲を調べる際の支障になります。ただし、保存エラーなら必ずライン停止とは限りません。代替保存で追跡性を保てるか、対象品を保留できるか、記録がなければ出荷できない要件があるかを基に、品質保証と設備・システム担当が継続条件を合意します。未保存のまま継続してよいとも一律には決められません。

排出を指示しただけでは処置済みにしません。現場は対象品の所在と状態を確認し、品質保証は再検査や出荷可否を判断します。設備担当が原因と復旧状態を確認した後も、途中で取り出した品や再投入品と履歴の照合が残ります。

手動復旧の担当、連絡先、再開の承認者まで決めると、交替勤務でも判断を引き継げます。装置の操作や安全措置は、メーカーと合意した手順に従います。

設備一覧と受渡条件を持ち寄る

最初の打合せには、検査対象の写真と良否基準、既存のカメラ・照明・PLCの型式、搬送間隔、撮像位置と排出位置を持ち寄ります。未確認の値は空欄のままでも構いません。設備図のどこで撮り、どこで判定結果が必要になり、どこで隔離を確認するかを書き込むと、調査が必要な箇所が分かります。

品質保証は良否と未検査品の処置、生産技術は撮像と搬送条件、設備担当は信号と排出確認、情シスは記録先と連携条件を確認する、という分担を出発点にします。兼任や外部委託がある場合も、最終的な確認者を決めます。保存容量の見積り、閲覧・設定変更の権限、設定の版と変更履歴も、記録を運用する担当へ確認してください。

設備側と合意した試験環境では、撮像漏れ、結果の遅延、保存先の障害、排出未確認も試します。対象品と履歴が一致し、未検査品をOK扱いせず、期限内に完了を確認できない場合は通知して合意済みの保留処置へ移ることを合格条件にします。

再投入や再送後も、別製品への結果適用や同じ検査回の重複処理がないか確認してください。工場責任者は連携試験や保守、再検査も見積範囲に含めます。接続先や担当範囲が未決定なら、要求整理の相談で受渡条件から整理しましょう。

まとめ

自動外観検査の構成は、6つの機能と、その間の受渡条件で確認します。撮像要求、判定完了、保存完了、排出確認は別の状態です。製品と検査回を対応付け、記録系と制御系それぞれの完了条件を決めましょう。設備一覧に未決定の接続先や担当者を書き出すことから、要求整理を始められます。

よくある質問

スマートカメラなら周辺の構成検討は不要ですか?

撮像と処理を一体化していても、製品の搬送、記録先、判定と対象品の対応、排出確認は別に確認します。搭載機能と工程で必要な機能を照合してください。

製品IDには必ずバーコードを使いますか?

方法は固定しません。工程内の追跡番号や位置管理でも、途中抜取りや再投入を含めて製品と結果の対応を維持できるかを確認します。再検査は検査回も区別します。

記録の完了を待ってから排出するのですか?

固定の順序ではありません。記録系と制御系がそれぞれ結果を使い、保存完了と隔離確認の条件を決めます。どちらを出荷や次工程への移行条件にするかは工程の要件によります。

保存先の障害では必ず設備を止めるべきですか?

代替保存の可否、対象品を保留する方法、必要な記録を基に継続条件を決めます。品質保証と設備・システム担当が、復旧後の照合も含めて合意してください。

自社の課題を具体的に整理する

検査業務の改善から始める 品質・トレーサビリティDX実践ガイド