原材料・半製品の期限をロットで管理し先期限先出しで使う方法

先入れ先出しと先期限先出しの違いと使い分け、入荷順と期限順がずれる場面を整理します。開封、解凍、製造の時点でロットごとに記録する項目、半製品の保管期限の決め方と判断者、払い出しの基準と例外、期限間近の在庫の扱いを、食品工場の実務に沿って解説します。

この記事でわかること

  • 先入れ先出しと先期限先出しの使い分けと、払い出しの順番を決める二段の基準
  • 開封、解凍、製造の時点でロットごとに記録する項目と、半製品の保管期限を決める人
  • 期限の異なるロットの混在や期限間近の在庫など、例外の扱い方

入荷順に使っているのに期限切れが出る

入荷した順に使っているつもりでも、原材料の期限切れは出ます。後から入荷したロットのほうが期限が早かったり、開封や解凍をした原材料の期限がどこにも書かれていなかったりするためです。作り置きの半製品に期限がなく、使うかどうかを担当者が経験で決めている場合も同じことが起きます。

例えば、冷凍の原材料を前日に解凍して冷蔵庫に移したとき、容器に解凍日がなければ、残った分をいつまで使えるかは誰にも判断できません。

ルールが「古いものから使う」としか決まっていないと、古いのが入荷日なのか期限なのかが人によって違ってきます。先入れ先出しと先期限先出しの使い分けを決めていないと、繁忙期や担当者の交代をきっかけに、払い出しの順番が崩れやすいと考えます。

ここでは、原材料と半製品の期限をどう決めて記録し、払い出しの順番にどう使うかを説明します。期限の種類の全体像や、期限が在庫の数に与える影響は、食品製造業の期限管理の記事で扱っています。

入荷順と期限順がずれる場面

先入れ先出しは、入荷日の早い順に出す方法です。入荷順と期限順が同じなら、それで期限の早いものから使えます。問題は2つがずれる場面です。例えば、仕入先が違うロットや返品を受け入れると、後から入ったものの期限が先に来る場合があります。入荷順だけでは、期限の順序を判断できません。

食品工場には、使う途中で期限が変わる場面もあります。ラベルの表示期限は、開封しないまま、定められた方法で保存したときの期限です。[1]開封や解凍の後の期限は、その時点から数えて社内で決めておかなければ、どこにもありません。表示期限が遅いロットでも、今朝開封したなら、未開封で表示期限が早いロットより先に使うべき場合があります。

保存方法を変えた場合も同じです。消費者庁のガイドラインは、流通段階で冷凍するなど保存方法を変えて期限表示の変更が必要になる場合、変更後の保存方法と新たな期限を設定し直す必要があるとしています。[1]工場の中で冷凍や解凍をした原材料も、元の表示期限のままでは並べられないと考えます。

置き方だけで順番を守ろうとすると、ずれはさらに見えにくくなります。期限の早いロットが棚の奥にある、応援の作業者へ払出し順が伝わっていないなど、現場でルールを守れない条件も確認してください。

入荷順に出しても期限切れになる流れ

  1. 入荷日の早い順に払い出す
  2. 仕入先の違い、返品、製造日の入れ替わり、開封・解凍入荷順と期限順がずれる
  3. ロットごとの期限の記録がなく、入荷順のまま出す期限の早いロットが後に残る
  4. 使用予定日までに有効な期限が来る使う前に期限を過ぎ、期限切れ
入荷順と期限順が一致する前提が崩れると、入荷順どおりに出していても期限の早いロットが残り、期限切れにつながります。

表示期限と開封後・解凍後の期限の早い方で並べる

期限のある原材料と半製品は先期限先出し、期限のない包材などの資材は先入れ先出しで足ります。なお、会計でいう先入先出法は在庫の金額を評価する方法で、現物を出す順番とは別の話です。

先入れ先出しは、入荷順と期限順が一致していることが前提です。先期限先出しは、ロットごとに期限が記録されていることが前提で、記録がなければ期限で並べられません。

比べる期限には、そのロットに実際に効いている期限を使うことを勧めます。開封や解凍をしたロットでは、ラベルの表示期限より早く来ることがあるからです。ここでは有効な期限と呼びます。

  • 原材料の有効な期限は、表示期限と、開封や解凍の日時から数えた社内の期限のうち、早い方です。
  • 半製品の有効な期限は、製造の日時から数えた社内の保管期限と、使った原材料のうち最も早い有効な期限のうち、早い方です。

例えば、今朝開封したロットAの表示期限が20日後、未開封のロットBの表示期限が10日後だとします。ロットAの開封後の期限が10日後より前に来るなら、表示期限では後になるロットAを先に使います。

払い出しの基準は二段にします。第1の基準は有効な期限の早い順、第2の基準は、有効な期限が同じなら入荷日(半製品は製造日時)の早い順です。第2の基準まで決めておけば、担当者が替わっても同じ順で払い出せます。

表03.01-1先入れ先出しと先期限先出しの使い分け

観点先入れ先出し先期限先出し
向く品目期限のない包材などの資材期限のある原材料と半製品
前提入荷順と期限順が一致しているロットごとに期限が記録されている
並べる基準入荷日の早い順第1に有効な期限の早い順。第2に入荷日(半製品は製造日時)の早い順
比べる期限期限は比べない原材料は表示期限と開封・解凍後の期限の早い方。半製品は保管期限と原材料の最も早い有効な期限の早い方
崩れる場面仕入先の違い、返品、製造日の入れ替わり、開封・解凍で順番がずれる期限の記録がない、開封・解凍後の期限が反映されていない
期限のある原材料と半製品は、有効な期限の早い順、同じ期限なら入荷日(半製品は製造日時)の早い順に払い出します。

ロットの混在や期限間近など例外の扱い方

二段の基準だけでは決まらない場面があります。そのたびに現場で判断すると、担当者によって扱いが変わり、判断の理由も残りません。次の例外は、品質保証が基準を先に決めておくことを勧めます。

  • 期限の異なるロットを混ぜて仕込むときは、半製品の有効な期限を、使った原材料のうち最も早い有効な期限より後にしません。
  • 製造から賞味期限までが3か月を超える食品は、賞味期限を年月で表示できます。[1]同じ月の表示なら前後が分からないので、入荷日の早い順に出します。
  • 使用予定日に有効な期限が切れるロットは払い出さず、使える在庫から外します。

期限を過ぎた原材料の扱いは、とくに現場の判断に任せません。消費者庁のガイドラインのQ&Aでは、加工の段階で消費期限を過ぎた原材料を使うことは、厳に慎むべきとされています。賞味期限を過ぎた原材料の使用は、必ずしも禁止されていません。

ただし、使う場合も、社内基準を策定し、最終製品の品質に問題がないことを科学的・合理的な方法で確かめ、記録を保存するなど、慎重かつ十分な管理の下で行う必要があります。[1]

期限内でも使い切れないロットは、期限日だけ見ていても見つかりません。例えば、残量60kg、1日の使用予定量10kg、有効な期限が4日後なら、使い切りに6日かかり、20kgが期限を過ぎる見込みです。この時点で、使う工程を前倒しするか、購買に次の発注量の見直しを頼むかを決めます。

記録する時点を3つに絞り、期限を決める人を置く

記録を増やしすぎないために、記録する時点を入荷、開封・解凍、製造の3つに絞ります。各時点で書く項目は次のとおりです。

  • 入荷時は、ロット番号、表示期限、入荷日を書きます。
  • 開封や解凍のときは、その日時、社内で決めた期限、記録した人を、容器のラベルと記録表に書きます。
  • 製造時は、半製品のロット番号、製造日時、使った原材料のロット番号、社内で決めた期限、記録した人を書きます。

入荷時の項目には公的な例があります。厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルは、原材料の品名、仕入元、ロットが確認できる情報、仕入れ年月日の記録と保管を求めています。[2]集団給食施設などが対象で食品製造業には直接当てはまりませんが、項目を決める参考になります。

開封後や解凍後の期限と半製品の保管期限は、供給元の指示があれば従い、なければ品質保証が社内基準として決めます。決めるときは、根拠、決めた人、記録する場所、見直す時期を残します。表示期限についても、表示責任者が根拠資料を整えて保管することが求められています。[1]

始めるときは、期限切れが出た原材料か半製品を1つ選び、上の記録がどこにあるかと、払い出しの基準が書かれているかを確かめてください。

期限の記録と払い出しの基準を整える手順

  • 期限切れが出た原材料か半製品を1つ選んだ
  • 入荷時のロット番号、表示期限、入荷日の記録場所を確かめた
  • 開封・解凍の日時、社内で決めた期限、記録した人を、容器のラベルと記録表に書く運用にした
  • 半製品のロット番号、製造日時、使った原材料のロット番号、社内で決めた期限、記録した人を製造時に書く運用にした
  • 開封後・解凍後の期限と半製品の保管期限に、根拠、決めた人、記録する場所、見直す時期を残した(供給元の指示があれば従う)
  • 払い出しの基準を「有効な期限の早い順、同じなら入荷日(半製品は製造日時)の早い順」と書き出した
  • 期限の異なるロットを混ぜて仕込むとき、年月表示で同じ月のとき、使用予定日に期限が切れるときの扱いを品質保証が決めた
  • 消費期限を過ぎた原材料は使用を厳に慎み、賞味期限を過ぎた原材料は社内基準・科学的な確認・記録の下でだけ扱うと定めた
記録する時点を入荷、開封・解凍、製造の3つに絞り、社内の期限と例外は品質保証が根拠を残して決めます。

まとめ

入荷順に使っていても期限切れが出るのは、入荷順と期限順がずれるうえ、開封や解凍、製造の時点で期限が変わるからです。払い出しは、表示期限と開封後や解凍後の期限のうち早い方で並べ、同じなら入荷日の早い順にします。そのために、入荷、開封・解凍、製造の3つの時点でロットごとに期限を記録し、社内の期限と例外は品質保証が根拠を残して決めます。まず期限切れが出た原材料か半製品を1つ選び、記録の場所と払い出しの基準を確かめてください。

よくある質問

先入れ先出しと先期限先出しは、どちらを使えばよいですか?

期限のある原材料と半製品は先期限先出し、期限のない包材などの資材は先入れ先出しで足ります。先期限先出しでも、有効な期限が同じロットは入荷日の早い順に出します。

開封した原材料の期限は、何日と決めればよいですか?

食品製造業向けに一律の日数を示した公的な資料は、確認できませんでした。供給元の指示があれば従い、なければ品質保証が社内基準として決め、根拠と決めた人を記録します。払い出しでは、その期限と表示期限の早い方を使います。

冷凍の原材料を解凍したら、期限はどうなりますか?

消費者庁のガイドラインは、流通段階で保存方法を変えて期限表示の変更が必要な場合は、期限を設定し直すとしています。工場の中の解凍も同じ考え方で扱い、解凍の日時を記録して、解凍後の期限を社内基準で決めることを勧めます。元の表示期限と比べて早い方を有効な期限にします。

システムがないと先期限先出しはできませんか?

できます。記録する項目と払い出しの基準を先に決めれば、ラベルと記録表で運用できます。品目やロットが増えて照合が追いつかなくなった時点で、記録の手段を見直します。

自社の課題を具体的に整理する

在庫情報だけでは見通せない不足に備える 需給判断業務改善ガイド原材料と半製品の期限の記録項目と払い出しの基準を無料で相談する
  1. 消費者庁 食品表示課「食品期限表示の設定のためのガイドライン」 (確認日: 2026/09/29)
  2. 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」 (確認日: 2026/09/29)