有効在庫(将来在庫)の計算と、欠品する日を事前に見つける方法

有効在庫(将来在庫)は、今日の利用可能在庫に入庫予定を足し、未引当の出庫予定を引いた数を日付順に積み上げて求めます。計算例で欠品予定日の読み方を示し、確定と未確定の分け方、見る期間と更新のタイミング、欠品が見えたときの対応の順序を解説します。

この記事でわかること

  • 有効在庫(将来在庫)の計算式と、日別の推移から欠品予定日を読む方法
  • 入庫予定と出庫予定に入れる範囲、予定を置く日付、確定と未確定の分け方
  • 見る期間と更新のタイミング、欠品予定が見えたときに手を打つ順序

今日の在庫だけでは見えない来週の欠品

今日の在庫が足りていても、来週の出荷や生産の投入で足りなくなることがあります。予定の足し引きを担当者が頭の中で行っていると、気づくのは直前になりがちです。生産計画と在庫を手作業で突き合わせる運用では、計算条件が担当者の手元に残りやすくなります。

必要な発注数を他の人が確かめられるよう、入出庫予定と計算の順序を共有する必要があります。

有効在庫という名称を使う場合も、現在使える数量か、予定を含む数量かを社内で揃えてください。このシリーズでは、今使える数を利用可能在庫、予定を反映した見込みを有効在庫(将来在庫)と呼び分け、次の式で求めます。

  • 初日の有効在庫 = 今日の利用可能在庫 + 初日の入庫予定 − 初日の出庫予定
  • 2日目以降の有効在庫 = 前日の有効在庫 + その日の入庫予定 − その日の出庫予定
  • 欠品予定日 = 有効在庫が初めて0を下回る日

出庫予定には、まだ引き当てていない分だけを入れます。引当済みの分は、利用可能在庫を出すときに差し引いているからです。

起点、日付、予定の範囲で起きる推移のずれ

式が合っていても、入れる数字の決め方があいまいだと、欠品予定日は実際とずれます。ずれやすいのは次の4か所です。

  • 起点を実在庫にすると、引当済みや品質保留の分だけ多く見えます。起点は今日の利用可能在庫にします。
  • 発注残を入荷日で置くと、受入検査の間も使えるように見えます。入庫予定は使える日で置きます。拠点間の移動は、到着日で到着先の入庫予定に入れます。出発した日に入れると、届く前の在庫を当てにすることになります。
  • 出庫予定に製品の受注残だけを入れ、製造指図で使う部材の所要量を入れていないと、複数の製品で使う部材ほど早く足りなくなります。
  • 納期回答のない発注残まで当てにすると、推移は実際より多く見えます。納期が確定した予定と未回答の予定を分けて表示します。

需要予測による出荷の見込みは、この計算に入れません。受注、製造指図、発注など、記録済みの予定だけで計算します。内示を入れる場合は、未確定の予定として分けます。

予定の置き方の誤りが欠品につながる流れ

  1. 予定の置き方を決めずに推移を計算
  2. 起点が実在庫、入庫が入荷日や出発日で置かれる使えない在庫や届く前の入庫を当てにする
  3. 所要量の漏れ、未回答の発注残の算入も重なる推移が実際より多く見える
  4. 0を下回る日が遅れて見える、または見えない欠品予定日を見落とす
  5. 前倒しや配分、納期の調整が間に合わない出荷・投入の直前に欠品が分かる
式が合っていても、起点、予定を置く日付、予定の範囲がずれると推移は実際より多く見え、欠品予定日が見えたときには手を打つ時間が残りません。

部品Aの計算例で欠品予定日を読む

部品Aで試算します。実在庫150個のうち、引当済みが20個、品質保留が10個なので、10月1日朝の利用可能在庫は120個です。出庫予定は未引当の分だけで、引当済みの20個は入れません。

  • 10月1日、製造指図の投入で40個が出て80個。
  • 10月3日、受注の出荷で30個が出て50個。
  • 10月5日、納期回答のある発注残60個が使えるようになり110個。
  • 10月6日、製造指図の投入で50個が出て60個。
  • 10月7日、受注の出荷で70個が出てマイナス10個。
  • 10月9日、納期回答のない発注残100個が入れば90個。

欠品予定日は10月7日で、不足は10個です。10月9日には90個に戻るので、9日間の合計だけを見ると足りているように見えます。推移で見る理由はここにあります。

次に、確定した予定だけの推移を並べます。10月9日の入庫は納期が未回答なので、確定分だけで見ると10月9日以降もマイナス10個が続きます。確定分だけで0を下回る日は、必ず手を打つ対象と考えます。未確定分が届けば足りる場合は、まず納期回答を取ります。

確定した注文への引当と、まだ変わり得る計画上の使用量は区別してください。安全在庫を決めている品目では、初めて安全在庫を下回る日も注意する日として読みます。

表01.03-1部品Aの有効在庫の日別推移(単位:個)

日付入庫予定出庫予定有効在庫(確定+未確定)有効在庫(確定のみ)
10月1日朝(起点)――120(利用可能在庫)120
10月1日―40(製造指図の投入)8080
10月3日―30(受注の出荷)5050
10月5日60(発注残・納期回答あり)―110110
10月6日―50(製造指図の投入)6060
10月7日―70(受注の出荷)−10(欠品予定日)−10
10月9日100(発注残・納期未回答)―90−10
欠品予定日は10月7日で不足は10個、確定のみの推移では10月9日以降もマイナスが続くため、まず未回答の納期の回答を取ります(数値は架空)。

見る期間の短さと更新漏れで減る打ち手

見る期間が調達や製造のリードタイムより短いと、欠品予定日が見えた時点で発注しても間に合いません。確認する期間は品目の調達日数から決め、長納期の原材料では数か月先まで見る計画を立てます。

見る期間は、その品目で最も長いリードタイムに、前倒しの交渉や追加生産の段取りにかかる日数を足した長さ以上にすることを勧めます。数か月先まで見る品目は週単位で並べ、欠品予定日の近くだけ日単位で確かめてもかまいません。

更新の仕方でも差が出ます。推移表の集計結果を直接書き換えると、元の予定との対応が失われます。入荷日や数量を変更した記録から、推移を計算し直せる形にしましょう。予定が変わったら予定の側を直し、推移は計算し直します。確認は、少なくとも発注の判断と納期回答の前に行います。

1品目での試算と、欠品予定が見えたときの対応順

まず、欠品が多い品目か、リードタイムが長い品目を1つ選びます。今日の利用可能在庫、発注残と製造予定と移動予定、受注残と部材の所要量、受入検査にかかる日数、最も長いリードタイムを集めます。予定を日付順に並べ、確定分だけの推移と、未確定分を含む推移を試算します。予定ごとに、登録する人と、変更を直す人も決めておきます。

欠品予定日が見えたら、次の順に手を打ちます。

  1. 予定を確かめます。確定分だけで足りないのか、未確定分の遅れで足りないのかを分け、未回答の納期は回答をもらいます。
  2. 入庫を前倒しします。発注先に納期の前倒しを頼み、製造予定を繰り上げられるかを確かめます。
  3. 配分を変えます。同じ在庫を当てている他の受注や製造指図との優先順位を見直します。
  4. 納期を調整します。出荷日や投入日を後ろにずらし、顧客や工程と合意します。

前の2つは購買と生産管理、後の2つは営業と生産管理の責任者が決めるなど、判断する人を先に決めておきます。配分を変えるときの優先順位は、引当のルールとして別に決めておく必要があります。

1品目で推移を試算する実行チェックリスト

  • 欠品が多い品目か、リードタイムが長い品目を1つ選ぶ。
  • 起点を、実在庫から引当済みと品質保留を除いた今日の利用可能在庫にする。
  • 発注残・製造予定は受入検査後に使える日で、移動予定は到着日で入庫予定に置く。
  • 出庫予定に、未引当の受注残と製造指図の部材の所要量を入れる。
  • 納期回答のない発注残や内示を未確定に分け、確定分だけの推移も並べる。
  • 見る期間を、最も長いリードタイムに対応にかかる日数を足した長さ以上にする。
  • 予定ごとに登録する人と変更を直す人を決め、推移の表は直接書き換えない。
  • 欠品予定が見えたときの対応順(予定の確認、入庫の前倒し、配分の変更、納期の調整)と判断する人を決める。
1品目で確定分だけの推移と未確定分を含む推移を並べ、欠品予定が見えたときに誰が何の順で決めるかまで用意してから、対象の品目を広げます。

まとめ

有効在庫(将来在庫)は、今日の利用可能在庫に入庫予定を足し、未引当の出庫予定を引いた数を日付順に積み上げて求めます。期間の合計ではなく推移で見ると、途中で0を下回る欠品予定日が分かります。入庫予定は使える日で置き、確定分だけの推移も並べてください。見る期間は、最も長いリードタイムに対応の日数を足した長さ以上にします。最初の行動は、欠品が多い品目を1つ選んで試算することです。予定の範囲や日付の置き方に迷うときは、資料や無料相談を使ってください。

よくある質問

有効在庫を今出荷できる在庫と説明する記事もありますが、どちらが正しいですか?

どちらの使い方もあります。このシリーズでは、今使える数を利用可能在庫、予定を反映した見込みを有効在庫(将来在庫)と呼び分けています。社内とシステムでどちらの意味かを、計算式で確かめてください。

引当済みの受注は出庫予定に入れますか?

入れません。引当済みの分は利用可能在庫を出すときに差し引いているので、出庫予定にも入れると二重に引くことになります。出庫予定には、まだ引き当てていない受注と部材の所要量だけを入れます。

拠点間で移動中の在庫はどう扱いますか?

到着先の拠点の入庫予定として、到着日で入れます。出発した日に到着先の在庫へ入れると、届く前の在庫を当てにした推移になります。

発注点で管理していれば、推移を見なくてもよいですか?

発注点は発注のタイミングを決める基準で、推移は何日に足りなくなるかを見るものです。役割が違うので、両方を使うことを勧めます。発注点を有効在庫で判定する方法は、関連記事で扱っています。

内示や需要予測の数字は入れますか?

この記事の計算は、受注、製造指図、発注など記録済みの予定だけで行います。内示を入れる場合は未確定として分け、確定分だけの推移も並べてください。需要予測の手法は、このシリーズでは扱いません。

自社の課題を具体的に整理する

在庫情報だけでは見通せない不足に備える 需給判断業務改善ガイド欠品が多い品目の入出庫予定の範囲と日付の置き方を無料で相談する